2020/10/07 11:15

「カリブレーション」

開店準備が整うと、すぐにコーヒーが欲しくなる。

お客様より先に店主である自分のためにコーヒーを淹れることに少しばかり後ろめたさを感じつつも、カリブレーションだと自分に言い聞かせて私はエアロプレスを取り出す。

今日のコーヒーはアリピオ・ズニーガ。私の肝入り。

コロンビアのピンクブルボンをアナエロビックで仕上げたユニークなオリジン。

フローラルかつトロピカルなアロマが心地良く、ベリーや柑橘、さらには乳酸系の酸が複雑に絡み合い、様々なキャラクターを見せながら、最後の一口まで淀みなく飲みきれるクリーンなコーヒーだった。

私はカップを置き、目を閉じて果てしなく続くハチミツのような甘い余韻に浸る。

開店時間はとっくに過ぎている。


不定期連載でコーヒーについての四〇〇字という
コラムを配信いたします。
弊店の商品についての雑文を四〇〇字程度(原稿用紙一枚)で綴ります。

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